彼は京都大学を２０２４年５月をもって退職することになったそうである。「国難に当たっては、正しい情報を国民に発信することは大学教員、研究者としての責務があると私は考えています」、しかしながら、「大学からは最後まで理解を得ることはかないませんでした」ということである。宮沢さんの無念な気持ちはひしひしと伝わって来る。有能かつ誠実な研究者の至極当然な行いが「通らない」というこの今の状況とは一体何なのか？やはり変革しなければならない「こと」なのである。しかし、これはあらゆる分野でそうなので、一分野に限ったことではない。いかに「今だけ、金だけ、自分だけ」という者たちが多いかということでもある。どうしてここまできてしまったのか、あらゆる分野で衰退を余儀なくさせ、亡国への道筋をつけているのは、取りも直さず長期政権政党・自民党の責任なのである。もうすでにこの「異常集団」によって作り出され、構造に組み込まれた「人間欠格者」は巷に溢れている。この共感の欠如態といってもいい「人間欠格者」はどのような分野においても基幹部分が欠損し、未成熟が常態化しているので展開不可能なのである。「国難」もその内「克難」で片が付く程度にしか理解できず、またわかろうともせず、すなわち、惰眠を貪る申し分のない「人間欠格者」に成り下がっているということである。
宮沢さんは現在の大学の状況も見せてくれたが、これも今始まったことではない。さらに今、政府自民党は大学法人に新たな合議体の設置を義務付ける国立大学法人法改正案を閣議決定したのである。これで大学に対する間接支配がより強いものとなった。今現在でも、「正しい情報」が専門家、識者から伝わることは稀であるのに、今後はますます政府に都合のよい情報しか流れないということである。
否応なく衰退する、後進国化する独裁国家というのが今一番適切な形容かと思われる。それを防ぐには、今進行中のもの、状態を一つ一つ断ち切るか、止めるしかあるまい。
2023 11/8
追記：後日、宮沢さんは、先輩に「コロナは科学じゃない、政治だ。科学的に攻めても無駄だ。正したければ政治家になるしかない。政治家になれないなら黙れ」と言われたそうである。彼は、研究者が立ち上がれば変えられるはずと反発したが、先輩の言う通り、コロナ禍は高度に政治的でしたということである。そして、「その時々で自分で判断して突き進みましたが、自爆するまでやることだったのか、今になってもわかりません。しかし、性格上しかたないと思います。こうなったのも運命かな」と述懐している。
言ってしまえば、宮沢さんもある意味で「選ばれた人」なのである。宮沢さんの先輩のような御仁はあらゆる領域でいる。何が起きても大過なく過ごせる「お達者クラブ」を形成し、いつも「ご健在」である。しかしながら、「政治家になれないなら黙れ」というのは極めて危険である。それはそのまま問題をないことにしてしまう方向に流されてしまうからである。いやしくも、学究の徒がすべきことではない。知り得たことについて提示すらできないという状況は、状況が異常なのである。この異常さに気が付かないまま進むとカタストロフである。
2023 12/10
さらに、１２月某日、宮沢さんは、「ライセンス教育は大学から外して専門学校にした方がいいかも。大学は純粋に真理探究の場に戻って欲しい！これマジに切実な思いです！！！研究者は苦手なんですよ。お金で真実が歪められたり、政府に忖度しなきゃいけないのが。クソッタレです。」と歎いていた。そこに、今度は国立大学法人法の改正でさらに大学を政府の監視下に置き、間接支配を強めようとしているのである。学術、文化はますます低迷、衰微するのは火を見るより明らか。それはそのまま亡国への道筋なのである。（12/16)