156.「戦争近し」という「空気作り」に余念がない

 失政から国民の目をそらし、政権延命をはかる陳腐な常套手段といってしまえばそれまでだが、またぞろ政府とメディアが阿吽の呼吸で一体となり「戦争近し」と煽り立てる。その点については哲学者・内田樹も指摘しているとおり、それは国内向けのプロパガンダだということである。しかしながら、ここで「戦争カード」を切ってくるというのは、やはり正気の沙汰とは到底思えない。正気の沙汰ではないから、よけいに危ないのである。わずかな誤算というレベルの話ではない、実際に隙ばかりのところには何が入り込んでもすぐに取り返しのつかない状態となる。

 タモリが、来年について「新しい戦前」と言っていたらしいが、それもこうした流れをを察知してのことであろう。私自身は、このサイトでエマヌエル・トッドに先立って、すでに第三次世界大戦は始まっていると言っているので、「新しい戦前」と言うよりどちらかと言えば「新たな戦局」と言った方が表現としては納得できる。

                2022 12/29

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