やはり、金の流れそのものが、その実態の本質的な成り立ちを雄弁に語るものなのであろう。
最近出されたロシアの日本人63名の「入国禁止令」は、その情報量と質の貧弱さを露呈しつつ、肝心なことも暴露している。ロシアとともに明日を見つめ前進しようと誓い合った者が、その後ウクライナ支援に回り、おかしなロシア「批判」を繰り返しつつ、それに乗じて自国の軍備拡張を強調、それを「邪魔する」憲法を改変することが急務とばかりに全国遊説行脚を行っていた。なぜかその者の名前がその63名の中にはない。下馬評の中には、「唯一のパイプを残しておいた」などというものもあるが、実のところ、この人間を介した金の流れが、すべてを具体的に物語っていると思われる。言ってみれば、極東の唯一の「金づる」というのがその存在理由でもあろう。ウクライナ支援を唱えて、ロシアの難点をいくら論っても、「親露」というお墨付きを「新帝政ロシア」の「皇帝」から賜っているというのがその証左である。今後も、国民は、自国に巣食ったこの手の手合いからどれほどの「見かじめ料」」を払わされることになるのか。円安、物価高騰、そこに増税である、どこまで耐えられるか・・・とにかく、このような手合いに憲法を変えられたら、徴兵制、国民総動員などは目と鼻の先である。
「西側諸国」、「東側諸国」という区別、もはや今までの概念では通用しなくなっているのであるからやめた方がいいだろう。現在、「共産主義国」などは存在せず、実質的にツァーリズム(ロシア帝国の絶対君主制体制)に後退移行しているのである。中国、北朝鮮然り。したがって、「東側」とは「帝政」、「ツァーリズム」もしくは、それに類した国ということを意味する。「西側」とは、少なくとも「反帝政」、「反ツァーリズム」ということで括ることは可能であろう。今、世界世論は「反ツァーリズム」という流れになっている。今後、「ツァーリズム」が趨勢となることはあり得ない。この新たな「ツァーリズム」の質の悪さは、理論上の共産主義社会が今なお継承、現存しているかのような幻想を振りまいているところである。ヒットラーとスターリンの対峙、この時点でこの両者はすでに同質であったのである。そして、2022年時点で、新たな「ツァーリズム」の再拡大。ネオナチとの戦い?何たる猿芝居。ナチスの正式名称は、国民社会主義ドイツ労働者党である。煎じ詰めれば、労働者に媚を売りのし上がった党である。その話術に騙されたのは労働者階級ばかりではない、世界的哲学者ハイディガーですら騙された党である。民族独立を願っていたバンデラが「対ソ連」で揺れ動くのも人間的にはわかる。独ソ戦では、一時ナチスと共闘したが、それ以後ナチスの「対ソ連」の提言は断っている。バンデラはナチスからもソ連からも狙われ、最後はソ連KGBのスパイに暗殺されている。
さらに、最近ではプロパガンダのねつ造のためイスラエルまで巻き込み、ますますこじらせているロシア。スターリンの時もそうであったであろうと思わせる事態で、周囲には、面従腹「従」の無能集団しかいられなくなっているのであろう。今回の「ヒットラーもユダヤ人であった」などということは、謝罪で済むことではない。これで世界を敵に回す歩みをさらに速めたことになる。「東側諸国」と「西側諸国」これは実質的には、「新ツァーリズム」と「反ツァーリズム」で、その視座も取り入れないと、今後様々なところで支障を来すことになる。
2022 5/5