118.「イメージ戦略」とは、すなわち「アヘン」

 「イメージ戦略」によって「なされたこと」、「生み出されたもの」とは、所詮は幻影、実在するかのように見えて、実はまったくあり得ない幻覚、まぼろしの類である。我々は、日々、マスメディア、ネット等でこの「イメージ戦略」にさらされているいることを忘れないことである。それは合法的な「アヘン」との闘いでもある。この「アヘン」の厄介なところは「考える」領域が縮小する度合いに比例して隅々まで蔓延して辛うじて残っている領域まで機能不全にすることである。しかし、どこを取っても、知らず知らずのうちにこの「アヘン」を吸わされているのが実情のようである。まず、身近なところでは、CM、日々数十回となく狂ったように繰り返し流される狂乱映像と音、パチンコ屋でひっきりなしに流される軍歌と同質の効果があろう。いつの間にか「現実」は「ありのままの現実」とは乖離していく。そして一方では、表裏に関係なく何でも「言った者勝ち」というようなことがまかり通っている危うい現状、それらを容赦なく切って捨て去るだけの取捨選択能力を養わなければ、「アヘン中毒者」と同様の道筋をたどらざるを得なくなる。「イメージ戦略」、「心理戦略」とは、各自の「心」の隙間、ひだに何気なく入り込むように巧妙に組み換えられているのである。したがって、流されているもの(情報など)に「受け身」のスタンスしか取れない者は必然的に「アヘン中毒者」と同質のものになっていく。思考の根幹領域が機能不全となった者たちには、人を踏みつぶしてでも自分だけが生き延びること、目先のことしか頭になくなっていく。要するに人間の「境涯」にはいない者たちということである。

 

                                   2020 3/1

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