インドの「ロックガーデン」を創ったネック・チャンドの生き方そのものに「芸術」に携わる者にとって不可欠な創作姿勢の根幹部分の様相を具体的に見せつけられる思いがする。最近では彼の動きの一部始終が連続したフラッシュバックで甦るようになってしまった。その姿は厳しい求道者かとさえ見間違える程であるが、彼はそうではない。彼の穏やかな容貌からはとても計り知れない、どこからそのようなエネルギーが湧き出てくるのかとも思われるが、その淡々とした明快な話し方、受け答えに彼の世界観を垣間見ることができる。彼は思うことを、やるべきことをやっているだけなのである。先送りにすることは一切せず、今やれることを、やるべきことをやっているのである。そこには一分の嘘もない。やるべきことをやる、それはそのまま凡夫ではないという証でもあるが、芸術が、「虚構」がその意味を強烈に放ち得るものとなるのはネック・チャンドのような関わりがなくては成り立たないというのはいつの世も変わることはないということを生々しく具体的に伝えてくれた。
彼の生き方に敬意を表すると同時に、彼が長い歳月をかけて創り上げた「A Fantasy」に惜しみない拍手を送りたい。
2014 9/22