163.「大衆の意識変革は成功しない」・・・

「かつて大衆の意識変革に成功した人はひとりもいない。ー中略ー 人類の大多数は惰眠をむさぼっている。あらゆる歴史を通じて眠ってきたし、おそらく、原子爆弾が人類を全滅させる時にもまだ眠ったままだろう。大衆にむかって、知的に、平和的に、美しく生きよと言っても無駄である」とは世界的に著名な某作家である。それなりのインテリジェンスを持ち合わせ、「意識変革」を多少なりとも試み、実践したものであれば、それは充分に理解できることでもあろう。しかしながら、大衆の意識変革を真に志向した者たちの存在は、大衆の在り様とは別に何らかの形で残り、今でも息衝き、様々な形で影響を与えていることは至る所で確認できることでもある。

 高度なインテリジェンスを持ち合わせていて、それが無駄とだと充分わかっていても、やらざるをえない「場合」、その「時」というものは本人の意思とは無関係にやってくることもある。そして、その「時」になって、何もやらないのは、不誠実な者、惰眠をむさぼる者、欲望に突き動かされている者たちだけということになる。

 特に、日本が民主主義国であると思い込んでいる日本の民主主義の「特殊性」の中では、「意識変革」など起こそうとすれば、いつの間にか「浮いた存在」となり、場合によっては「狂気」の様相を呈さざるを得なくなるだろう。日本の民主主義の「特殊性」については今更、多言を弄する必要もあるまい。要するに、その様相は飽くまで「特殊」であって、「普遍的」民主主義が志向するべきものとは乖離し続け、欺瞞に満ち溢れ、とても展開、敷衍できる代物ではないということである。現状を「観れば」それは「一目瞭然」。

          2023 8/8

 

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