パコ・デ・ルシアが滞在先のメキシコで心臓発作のため亡くなったそうである。66歳であった。彼はその奏法、スピード、キレにおいても他の追随を許さないフラメンコギタリストであった。そして、何よりも「今」を生きていた。それは「ノマド」としてのロマ(ヒターノ)が紡ぎ出す「今」で、「タジク」(定住民)の死の影の希薄な「今」ではない。彼のギターを聴いてフラメンコの世界に足を踏み入れた者も多いが、単なる技術ではなく、肝心なものが発する息吹を感じ取ることは至難の業のようである。
ともあれ、一時代を画したフラメンコギタリスト パコ・デ・ルシアの死にガルシア・ロルカの詩の一節を捧げる。
¡ Oh guitarra ! おお、ギターよ!
Corazón malherido 五本の剣で
por cinco espadas 深傷を受けた心
2014 3/1