20.新藤兼人監督、お疲れ様でした。 平山勝

 新藤監督も私が小学生の頃から身近に感じていた映画監督である。それは父の友人が近代映画協会のプロデューサーをしていたということもある。しかし、それ程に身近にいた映画監督であるにも拘らず新藤監督の映画作品との「出会い」はあまり多くはない。ただ映画一筋に独特な映画作りをしていたことは今なお脳裏に焼き付いている。それは今後も新たな意味付けがなされつつ創作上重要な要素にも成り得ることではないかと思われる。そして、その創作姿勢そのものは今後も多くの者を共振させ続けることであろう。私はつい最近まで監督が100歳になられたとは知らなかったが、※この世界で100歳とは奇跡に近い。それについては荒畑寒村が90歳を過ぎてアルプスを見に車椅子でスイスまで出かける気概とどこか一脈相通ずるものを感じてしまう。監督100歳の誕生日に、「これが最後の言葉です。どうもありがとう。さようなら。」と挨拶したことが伝えられている。そして、その通りその一か月後、あなたは帰らぬ旅の人となった。お見事です。

 新藤監督、お疲れ様でした。そして、ほんとうにさようなら。

※2010年 長岡輝子氏(女優・演出家)が100歳時まで現役で、102歳で死去している。これは日本芸能人中最高年齢。

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