ー「ジェラール・フィリップへの愛ゆえに」、「北をめざす2人のおばさん」2作品を観てー
中條 忍(仏文学者、翻訳者)青山学院大学名誉教授
良い舞台であったと言う以外、言葉がありません。ノットさん(ピエール・ノット)も舞台の作り、役者の動かし方、透明でわかりやすい運び、などほめていました。私も2本の演出に関し、ノットさんと同じ感想を持っています。簡単な道具、単純な照明、そして音楽、それらが実にたくみに使われ、舞台の奥行きを増していました。
今回の2本の作品も歌が入っていますが、この3月(2009年)にオデオン座がオリヴィエ・ピィ演出でクローデルの「繻子の靴」全曲を通しで上演しましたが、本来喋るべき台詞を歌にしている箇所がいくつもありました。
(以上は中條忍氏より送られた文章の抜粋である。)
※オリビエ・ピィ 劇作家、演出家、俳優。オデオン座芸術総監督。パリ国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)に入学と同時にカトリック学院で神学、哲学を学ぶ。1995年 30才の時に、アヴィ二オン演劇祭で上演時間24時間の自作「常夜灯ー果てしない物語」を7日間連続上演し、脚光を浴びる。最近では、今年6月(2009年)「Shizuoka春の芸術祭」で「グリム童話」を作・演出している。
2009 5/11