81.炎と血とー人間の愚かさの極致ー

 炎と血に至る道とは、どのように言い繕ってみても、たとえ正義の御旗を振りかざしてみたところで、それは人間そのものの愚かさの証明にしかならないということを否応なく訪れる結果が見せつける。「炎と血と」などと言うと、今ある自分と何か程よい距離があり非日常の世界を思わせるが、それは、炎と自らの血が流れる時と言った方がその実態がより具体的に見えるのではないか。現状は、安全地帯などはどこにも存在しなくなっているのである。ミサイル発射に避難訓練などするだけ無駄であるように、迎撃システムを整えたところで防げると思う方がオメデタイ。何度も言うが、地震大国の上に原発という巨大な弾薬庫が其処彼処に所狭しとあるのである。さらに地球温暖化の影響で自然災害などもいつ来るかわからない程変調をきたしている。その上に食料自給率の恐るべき低さ。何かあればネズミ、芋虫、ゴキブリまで食って生き延びようというのか。ミサイルがどうのこうの言う前に自ら置かれた状況を冷静に見まわしてみればどうなるかすぐにわかること。勇ましい「侍姿」もすぐに糞袴を引きずることになり、裏山では日々老人の首つり自殺である。

 戦争などを扱った作品などもレベルの高い内容を持つものは例外なく人間の愚かさ、弱さを描き切っている。それ以外の類は大なり小なり、見るに堪えない酔狂としか言いようがないものである。戦争アクションものなどに至っては想像力が劣化して退行してしまった者を対象としたとしか思えないものばかり。要するに、鉄砲屋、自動車屋のカタログ紹介ものと言った方手っ取り早い。「人間」不在の「人間」モドキばかりを取り上げるということは、美化された類型的な「非人間」を作り出すだけであろう。戦争の正当化、美化で一番喜ぶのは「軍産複合体」であることは否定しようのない明確な事実である。それについては異論をはさむ余地はまったくない。

 

                              2017 8/30

 

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