ご存知のようにヘルメスとはギリシャ神話のゼウスとマイヤの子で、幸運・富裕の神として商売、盗み、競技などの保護者であり、旅人の保護神でもあった。そして霊魂を冥界に導く役目も担っていた。
敢えて繰り返すまでもないが、ヘルメスは「幸運の神」、「富裕の神」として「商売」、「盗み」、「競技」などの保護者なのである。「幸運」,「富裕」の神ヘルメスが微笑めば「商売」も「盗み」も「競技」も成功し、富める者となる。「商売」、「盗み」、「競争」などが同次元にあるところにギリシャ神話の人間観察の面白さがある。ヘルメスは、その加護に浴した者も、「不幸」にしてその埒外であった者も,実のところは日々旅人のごとくその生を送らざるを得なかった、癒えることのない流浪の魂を冥界に送るのである。果たして、その冥界がどのようなものなのかは知る由もない。
法律などもその時代に左右される相対的なものでしかないが、その法律を自分の都合のように変える実権を握れば今まで実質的にも「盗み」でしかなかったものも合法的な「商売」として成立させることも可能なのである。ヘルメスが「幸運の神」、「富裕の神」というのも非常にわかり易いが、世人の倦むことのない興味の対象でもある「幸運」も「富裕」もすべてこの詐術、狡知に長けたヘルメスのテリトリーなのである。
2014 11/27