今更言うまでのことではないが、こんな調子ではいつまで経っても同様であろう。すなわち、「本物」は育ちようがなく、すべてがキッチュであるということである。「〇〇受賞」の俳優、作品を観てみれば一目瞭然、諸外国と比較するまでもなく俳優の演技力、作品の切り口、監督、演出のスタンスなどの点でも見劣りするというより比較の対象にもならない。そのような状況に際し、それではどうすべきかなどという「対案」などで処理できるほど傷口は浅くない。もはやすべてが解体するより手立てはないのである。現状の構造のままの継続には更新すらあり得ず、シュリンクする負のスパイラルが待ち受けているだけである。もはや継続自体が何かをもたらすだろうなどというあまい考えは捨てた方がいい。身過ぎ世過ぎで関わらざるを得なかった者たちも人生に目的を求めるのなら死すべき時であろう。それは「人生の目的は生きることではなく、死ぬことだ。」という意味においてである。念のために説明しておくと、これは自らの生命を惜しげもなく「思うところ」に託すという意味で、自らの生命を全開させて事に当たるというかなりポジティブなスタンスでもある。
さらに説明、補足を加えれば、「日本の映画界も演劇界も最低である。」というのは、単なる「引かれ者の小唄」などの類で切り捨てられるようなものではなく、現状はそのことを全面的に引き受けるしか先がないと言っているだけで、それについての妙な自己正当化の類はすべてマイナス方向にしか機能しないことを再確認した方がいいという意味である。
2014 10/25 11月某日補足