「酒中の忙」とは漱石の漢詩に出てくる。
幽居 正に解す酒中の忙
華髪 何ぞ須いん酔郷に住むを
すなわち、静かな生活を送っていると酒席,杯事のうっとうしい慌ただしさがよく見えてくる。白髪が出てくる歳になってまでそんな「酔い」の世界に身を置く必要があるのか、というほどの意味である。私が酒を飲まなくなったことについては以前にも書いたが、「幽居」であるかどうかはさておき、「垂直」の時の流れが追い風に乗る機会が多くなると自ずと酒席の興趣は消えるのである。
そして、静かに香でも焚けば文句はない。
「所に随い縁に随いて清興足る」、というのは今の私の実情でもある。
2014 7/17