Adieu mon ami(さらば、友よ)というのはいつでも現実的にあり得るが、「Adieu au langage」(「言語よ、さらば」)となるとそうはいかない。ゴダールの「言語よ、さらば」という映画はいつか観る日を楽しみにしているが、ワンシーンでゴダールとわかる。それは絵画のタッチで画家がわかるのと同様である。映画の内容はsimple(単純)で、男女の出会い、別れ、再会、さすらう一匹の犬がいつの間にか彼らの間にいる・・・。métaphore(メタファー)をどれだけ読み取れるかでも観る者の味わい方も違ってくるのであろう。「タッチ」と展開、老境に達したとはいえやはりゴダールである。
Adieu au languageも言葉である。自分自身でも御せもしない観念、言葉でただ泥だらけになっているだけという多くの実情を見ざるを得なくなると、つい「言語よ、さらば」とでも言いたくなるが、私はBonne nuit au langage(言語よ、お休み)とでもしておく。
※Adieuは長時間、あるいは永久的に別れる時に遣われる。Adieu mon amiのadieuはadieu pour toujours(永久の別れ)の意味合いが強い。
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督作品など他にもいくつか観たい作品はあるがいつになることか。
※カンヌ国際映画祭とゴダール
ゴダールは1965年「気狂いピエロ」を発表した年に「アルファヴィル」でベルリン国際映画祭金熊賞受賞。1967年,商業映画との決別宣言文を発表。1968年5月、五月革命の中、第21回カンヌ国際映画祭に映画監督フランソワ・トリュフォー、クロード・ルルーシュ、ルイ・マルらとともに乗り込み賞の選出を中止に追い込んだという経緯がある。
2014 6/5