内閣支持の、すなわち自民党の「岩盤支持層」についてのマーケティングリサーチレベルの皮相的な分析がまことしやかに新聞などで報じられているが、そこからは何も見えて来ないだろう。なぜ自民党≒日本であるがごとくに錯覚してしまうのか、その本丸にあるものを明確に伝えていないからである。それではその本丸とは何か?それは、<「皇国」の国法は随神道なのであり、すなわち、古神道の顕現に外ならない。各人はすなわち八百万の神の顕現であり、国法は神道の現れである。>ということから、日本人を神として取り扱う我が国の国法の原理がここにあるという見解である。<「八紘一宇」とは、崇高な道徳で、世界最高の神意であること>。そのようなことから、<「特攻精神」はもっとも純粋な世界精神である>というところまで、一直線につながっているのである。この精神構造を明晰に解析すれば、自ずと問題点は明らかとなる。要するに、「岩盤支持層」といわれている核心部分はこのような精神構造で成り立っているのである。したがって、その末流、支流に思い込みの尋常ではない者が、日本人というだけで神になったような気になるナルシストが現われるのも当然なのである。
このような精神構造を持った者たちにとって、民主主義憲法は邪魔なだけというのは一目瞭然であろう。彼らには、主権が国民にあることなどとんでもないことで、自民党一党独裁で充分なのである。彼らの意識構造は大なり小なりここら辺にある。だから、「国民に主権はない」、「自民党一党で充分」などという言葉がいともたやすく出てくるのである。「国民」は八百万の神の顕現で、「主権」などは必要ないのであろう。このような精神風土の中で統一教会なども紛れ込み根を張っているのである。これも八百万の「神」の顕現の一つなのであろう。思考停止状態で「神」に仕立て上げられ、「主権」も「自由」もうばわれ、いつの間にか民主主義国家は独裁国家にすり替わっているということになる。
この「岩盤支持層」の意識構造は、既得権益側にとっても、軍産複合体にも極めて都合がいいというただそれだけのことである。
元々は、素朴な汎神論的世界観が民族宗教の基盤となっただけのことであるが、いつしかそこから牽強付会をしてまで、強固な体系化を余儀なくされ、「日本人特有の意識構造」なるものが作り出されてくるのである。日本が、民主主義国というより、優しい独裁国家などといわれてしまうのもこの「特有の意識構造」が見えるからであろう。人々の動きを見ていても、人々が意識するしないに関わらず、この国が八百万の神の顕現の国という「国法」に支配されているとしか思えないのである。そこには、自由で、自立した「個」などはまったく存在しないし、存在する必要もないのである。今後、おかしな独裁者を登場させないためにも、各自がこの「特有の意識構造」と真摯に向き合うことが必須であろう。その時はじめて、目覚めた真の「日本人」が成り立ち得る。現在のままでは、隷属しているだけの「民」の選民意識ばかりがはびこり、選民意識自体は現実を見えなくさせる衆愚化の一つの手段でもあるが、現実事象はすべて置き去り、見れども見えずの状態から抜け出せないということになる。
2023 3/26ー3/30ー