ある方の年賀状にロルカの「コルドバ」という詩の一節があったので、ロルカの詩の朗読をした時のことを思い出してしまった。原文は「Córdoba. Lejana y sola」(コルドバ、遥か ただ一つ)、そして、「俺は決してコルドバに着かないだろう」とある。「死がコルドバの塔から俺を狙っている」。「俺がコルドバに着くより先に死が俺を待ち受けている。」、「ああ、何と長い道のりか!」・・・巨大な赤い月の中、コルドバに向かって歩み続けることが宿命でもあるかのように歩き続けている。抗うことができない力に突き動かされているかのようでもある。それは「El llanto de la guitarra」(ギターの嘆き)のように「Es inutil callarla Es impossible callarla」(とめようとしても 無駄なこと とめることはできない)のである。スペイン内戦の際、危険をいち早く察知してフランスに難を逃れた者も多くいる中でロルカは危険を直感しながらもスペインの荒野を歩き続けている。そんな姿に共感を持つことはあっても決して愚かであるとは思わない。彼は内戦勃発直後1936年、38歳の年にフランコ側に射殺された。その1年後にはピカソの戦争の惨禍を描いた代表作「ゲルニカ」が作られている。
年賀状の中には「孤高」という言葉も遣われていたが、ロルカ然り皮肉にも民衆と共にある、あろうとする者はその人間が誠実であればあるほど必然的に「孤高」、「孤塁を守ること」を強いられるというパラドキシカルな論理をも内在化させざるを得なくなる。
2014 1/2